『瞑想でできる心身のセルフメンテナンス』

瞑想でできる心身のセルフメンテナンス

いつも考え続けていませんか?脳の疲労が心身を蝕む!

目次

『瞑想でできる心身のセルフメンテナンス』

近年、新型コロナウイルス感染症の蔓延や地球温暖化の影響による気候変動、自然災害の多発、社会情勢などの大きな変化があるなかで、私たちにのしかかるストレスや心理的な不安要素が大きくなっています。

これまでランニングや散歩を日課としている、ジムに通うなど身体のためのメンテナンスをしているという方々は多くいらっしゃるかもしれませんが、こうした地球環境や社会不安などが大きくなるなかで、これからは心のメンテナンスが必須ではないでしょうか?

今回は心だけではなく身体の疲労感の解消にも役立つセルフメンテナンス法とも言える瞑想についてご説明いたします。

1.瞑想って本当にいいの?~マインドフルネス瞑想の研究結果とは?~

以前から日本では座禅などの瞑想が根付いていましたが、コロナ禍の影響も相まってマインドフルネスが多くの人々に注目されています。近年の瞑想ブームの火付け役は、約40数年前に分子生物学者・マサチューセッツ大学医学部教授であるジョン・カバットジン博士と言えるでしょう。

博士により禅の瞑想法と西洋医学を結びつけたストレス調整法として開発された「マインドフルネスストレス低減法」により、瞑想の継続がストレス低減に役立つことが科学的な研究結果により実証されたことで欧米の大手企業や著名人が実践し始め、瞑想ブームへと発展、現在欧米では多くの人々が瞑想を日常に取り入れ、心身のメンテナンスに活用しています。

主なマインドフルネス瞑想の研究結果では、脳構造(左海馬内の灰白質体積が5%増加など)の変化が見られ、学習や記憶、自己参照処理、感情調整を改善することがわかっています。また、瞑想したグループは瞑想をしていないグループに比べ、マルチタスク能力が上がり、記憶力が向上していたという結果もあります。

2.脳の疲労・ぐるぐる思考が心身を蝕む! ~デフォルト・モード・ネットワークとは?~

私たちの心は常に動き回るという性質を持っています。仏教では心を「意馬心猿」と例え、意思は馬のように暴れるもの、心は猿のようにあちらこちらへと動き回るものと言います。

仕事が終わっているのに家に帰ってまでも仕事のことをあれこれ考え続け、考えることを止めようと思っても思考の反芻が止まらなかったり、目の前の人の話を聞かずにうわの空で考え事をしていたり…、こうして私たちは「今、ここ」にある一瞬一瞬を味わうことなく、とりとめもなく過去や未来のことに心を彷徨わせています。一日中、思考が一瞬たりとも休むことがない状態が続くと、心はもちろん身体も疲弊し、うつ状態や病気になる可能性が高くなります。

そんなとりとめもなく、ぐるぐると思考が動き続けている状態、意識が今にない状態が「デフォルト・モード・ネットワーク」です。このデフォルト・モード・ネットワークは車がずっとエンジンをかけ続けているような状態で、脳のエネルギーの60〜80%を消費し、身体全体では12〜16%のエネルギーを浪費しています。反芻思考が心身を疲弊させ、いくら休んでも疲弊感が拭えないといった状態になります。

3.疲労感の解消に瞑想がいいのはなぜ?

瞑想が心身の疲労解消に効果があるのは、前章であげたデフォルト・モード・ネットワーク(脳のアイドリング状態)を瞑想中は鎮めることができると証明されているからです。

瞑想には様々な方法がありますが、一般的な方法は中心となる対象に注意を向けるという実践です。しかし、「意馬心猿」である心は対象から離れ、あちらこちらに心が逸れて思考や感情が湧きおこり始めます。その湧きおこってきたものに気づいたら、また注意を対象に戻すということを繰り返しおこなっていると一時的にでも思考を休ませることができ、これがデフォルト・モード・ネットワークを鎮め脳疲労の軽減につながります。さらに集中力が養われ、湧き起こる思考や感情を俯瞰する視点を培うことができ、自分の思考や感情に巻き込まれにくくなり、思い悩む悪循環を断ち切ることができてくるでしょう。

また、瞑想(マインドフルネス)の実践により脳の内側前頭前皮質という部位が活性化することが証明され、不安や恐怖を感じたときやストレスにさらされると活性化する扁桃体の活動を低下させることがわかっています。扁桃体は身体にコルチゾールなどのストレスホルモンを分泌させ、血圧や血糖値のレベルを上昇させ、免疫の低下やうつ傾向などを生み出します。つまり、瞑想の実践により、気持ちを安定させ、ストレスによる身体への負担を低減することができるということが科学的にも証明されていることがわかります。

最後に

現状、決して明るいとだけ言えない社会状況のなかで、瞑想をセルフメンテナンスとして日常に取り入れることでストレスを低減し、心身の健康に役立てていただければと思います。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次